サイボーグ果南

ダイヤ「夜に潜りに来るなんて...良い傾向じゃありませんわよ…海が怖くないんですの?」
 
果南「その時は死ぬだけだよ。それとも飛び込んで助けてくれる?無理に付き合ってもらったわけじゃないよ...」
 
ダイヤ「わたくしは…」
 
ダイヤ「ところで...海に潜るってどんな感じなんですの?」
 
果南「恐れ、不安、孤独、闇、それから、もしかしたら希望かな」
 
ダイヤ「希望?真っ暗な海の中で?」
 
果南「海面に浮かび上がる時、今までとは違う自分になれるんじゃないか?そんな気がする時があるの」
 
ダイヤ「あなた...もしかしてAqoursを辞めたいんじゃありませんの?」
 
果南「便利なものだよね。その気になれば体内に埋め込んだ科学プラントで血液中のアルコールを数十秒で分解してしらふに戻れる。だからこうして待機中でも飲んでいられるんだよ。それが可能であればどんな技術でも実現せずにはいられない、人間の本能みたいなものだね。代謝の制御、知覚の鋭敏化、運動能力や反射の飛躍的な向上、情報処理の高速化と拡大、電脳と義体によって、より高度な能力を獲得を追求したあげく最高度なメンテナンス無しには生存できなくなったとしても文句を言う筋合いじゃないよ...」
 
ダイヤ「わたくしたちはAqoursに魂までうったわけではありませんわよ?」
 
果南「確かに脱退する権利は認めるられてるわ。この義体と記憶の一部を謹んで学院にお返しすればね…人間が人間である為の部品はけして少なくない様に、自分が自分である為には、驚くほど多くのものが必要なのよ。他人を隔てる為の顔、それと意識しない声、目覚めの時に見つめる手、幼かった時の記憶、未来の予感、それだけじゃないわ。あたしの電脳がアクセス出来る膨大な情報やネットの広がり、それら全てがあたしの一部であり、あたしという意識そのものを生み出し、そして同時にあたしをある限界に制約し続ける。」
 
ダイヤ「それが沈む体を抱えて海に潜る理由なんですか!?暗い海の底でいったい何が見えるって言うんですの?」